コラム

今月の相談
育児休業終了後に復職意思のない労働者の取扱い



Q 育児休業中の女性社員がおり、育児休業終了後に復職を予定していましたが、
職場復帰予定日を確認したところ復職の意思がないようで、「復職は難しい」と言っています。
このような場合、育児休業を取り消して、退職させることはできるのでしょうか。

A 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」
(以下、育児・介護休業法)に基づく育児休業の基本的理念には、
「子の養育を行うための休業をする労働者は、その休業後における就業を円滑に行うことが
できるよう必要な努力をするようにしなければならない」と定められています(第3条第2項)。

このように育児休業は、育児休業している労働者の休業終了後の就業の継続を前提とした雇用支援措置であり、
育児休業後に復職の意思がない場合は育児休業を適用するのは法の趣旨にそぐわないとも言えます。
では、復職の意思がない労働者から育児休業の申出があった場合、会社はこれを拒否することができるかですが、
育児休業はその取得要件に該当する労働者から申出があった場合には、事業主はその申出を拒むことができません。

すなわち、育児休業はたとえ復職の意思がない場合であっても、
労働者が育児休業の申出をした場合には取得要件を満たしているかぎり、原則として、
子が1歳に達するまで(保育所への入所待機等延長事由に該当する場合には最長で子が2歳に達するまで)、
育児休業の取得を妨げることはできません。

また、労働者が育児休業の申出をし、または育児休業をしたことを理由として、
当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることは禁じられています(同法第10条)。

育児・介護休業法に基づく育児休業中は、所定の要件を満たせば、
雇用保険から最長で子が2歳に達するまで育児休業給付金が支給されるため、
経済的な不安が軽減され育児に専念することができます。

しかし、育児休業期間が終了しても子どもに手がかかることに変わりはなく、
職場復帰を予定している労働者の中には育児休業期間満了と同時に退職を考える人がいることも少なくありません。
このような場合、子が2歳に達するまで長期間の育児休業により仕事を休んでいたにもかかわらず、
育児・介護休業法の本来の趣旨(就業の継続)からして育休後に退職することはできるのか、
また育児休業期間中において復職の意思がなくなった労働者の
育児休業を途中で終了させることはできるのかという問題があります。
育児・介護休業法で定める育児休業の終了事由は次のとおりです (同法第9条第2項)。

1 育児休業終了予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他労働者が育児休業申出にかかる子を
養育しないこととなった事由として厚生労働省令で定める事由が生じたこと

2 育児休業終了予定日とされた日の前日までに、
育児休業申出にかかる子が1歳
(1歳6カ月までの休業をしている場合は1歳6カ月、2歳までの休業をしている場合は2歳)に達したこと

3 育児休業終了予定日とされた日までに、育児休業申出をした労働者について、
労働基準法に定める産前産後休業および育児・介護休業法に定める出生時育児休業期間、
介護休業または新たな育児休業が始まったこと


上記のいずれかの事由に該当しない場合は、労働者が復職しないという意思表示をしたとしても、
それを理由に育児休業を終了させることはできません。
ご相談内容は、当初復職予定であった従業員が育児休業取得中に考えが変わり、
復職する意思がなくなったとのことですが、前述のとおり、
復職の意思がなくなったことのみをもって、育児休業を終了させたり解雇することはできません。

また、このような労働者に対し退職勧奨等を行うことは、
育児・介護休業法が禁止する「不利益な取扱い」にあたる可能性が高いため、注意しなければなりません。

今月のポイント
育児休業は、休業終了後に職場復帰を前提とした制度であるが、
育児休業終了後に退職することが禁止されているものではないため、
退職を制限すること、または不利益な取扱いをすることはできない。


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