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職場における旧姓の通称使用の現状とは
約7割の企業が使用を 「容認・検討中」
結婚して姓を変える人は女性が圧倒的に多く、2023年時点で全体の約95%を占めています(厚生労働省「人口動態統計」より)。
一方で、働く際は旧姓を通称として使う人が少なくありませんが、企業はそれをどう捉えているのでしょうか。
帝国データバンクの調査からその現状を確認します。
認めていない企業は約1割
帝国データバンクが3月に実施した「旧姓の通称使用に関する企業の実態アンケート」によると、
63.6%の企業が職場での結婚前の旧姓の通称使用を「認めている」ことがわかりました。
「認めていないが使用について検討中」(6.9%)を合わせると、
約7割の企業が旧姓の通称使用を「容認・検討中」としています。
一方、「認めていない」企業は92%でした。
また、「容認・検討中」の企業を規模別に見ると、
「大企業」は78.7%、「中小企業」は69.2%、「小規模企業」は64.0%と、
規模の大きい企業ほど旧姓の通称使用が浸透していることがわかります。
調査では、旧姓使用を認めている企業からは
「コミュニケーションの円滑化やメールアドレスなどの継続使用といった具体的なメリットが挙がるほか、
個人の自由や多 様性を尊重する姿勢も多く見られた」と述べています。
一方、認めていない企業からは、旧姓・現姓両方の管理に伴う事務負担や煩雑さが理由として挙げられています。

約半数の企業が 「負担感なし」
次に、旧姓の通称使用に対する企業の負担感について尋ねたところ、
「負担感はない」と答えた企業が 50.7%、「負担感あり」とした企業が13.6%でした。
さらに、旧姓使用を「認めている」企業と「認めていない」企業それぞれの負担感を見ると、
「認めている」企業は「負担感なし」が 65.6%と全体平均 (50.7%)を上回りました。
一方、「認めていない」企業は「負担感「あり」が32.5%と全体平均 (13.6%) を上回っています (以上、 図表参照)。
負担感がない企業からは「人事・労務管理で多少の負担もあるが、
世情にあわせシステム的に標準対応されている」などの声があがり、
調査は「旧姓の通称使用では2つの姓の管理にともなう事務負担が発生するものの、
システムなどで適宜対処が進んでおり、負担感は少なくなっている」と分析しています。
内閣府の「男女共同参画社会に関する世論調査」(2024年9月調査)によれば、結婚して戸籍上の姓が変わった場合、
働く時に「旧姓を通称として使用したいと思う」と答えた人は43.3%で、前回調査 (2022年11月)から4.2ポイント増加しています。
住民票やマイナンバーカード等に旧姓の併記ができることからも、今後も旧姓の通称使用の流れは広がっていくと考えられます。
