高年齢者の就業に対する意識の変化とは
健康維持や社会とのつながりが働く理由の上位に
人生100年時代といわれるなか、高年齢者の就業状況や働く意欲はどのように変化しているのでしょうか。
厚生労働省が2024年11月に公表した「第19回中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)」の結果から、
「就業の状況」について見ていきます。
「中高年者縦断調査」は、高齢者対策などの厚生労働行政施策の企画立案のための基礎資料を得ることを目的に、
団塊の世代を含む全国の中高年者世代(2005年10月末時点で50歳から59歳)の家族や
健康就業の状況・変化について継続的に調査したものです。
第19回調査(2023年実施)は、2005年の第1回調査から協力が得られている1万5523人について集計しており、
その調査対象者の年齢は68~77歳となっています。
68~69歳の就業者は増加
まず、第1回と第19回の就業状況を比べると、「仕事をしている」人は81.9%から35.6%に減少しました。
このうち、「正規の職員・従業員」は38.7%から2.4%、「パート・アルバイト」は17.0%から13.2%、
「自営業主、家族従業者」は15.2%から11.5%に減少しています。
60歳以上の仕事をしている者の割合については、調査対象者が60~69歳だった第11回(2015年実施)と
68~77歳の第19回のいずれも年齢が高くなるにつれて減少しています。
ですが、これを双方の比較が可能な68~69歳だけで見ると、男性の第11回→第19回は68歳が55.7% 60.0%、
69歳が50.8% →58.7%、女性の第11回 第19回は68歳が33.6%→41.5%、69歳が31.4%→38.9%と、
いずれも第19回の方が高くなっています。

ニーズを踏まえた就業機会を
また、調査では仕事をしている者の「仕事をしている理由」について、第6回と第19回で比較しています(図表参照)。
男女ともに第6回では「現在の生活費のため」が最も高かったのに対し、
第19回では「健康を維持するため」が最も高くなっています。
また、「社会とのつながりを維持したいから」の増加も目立ちます。
企業には、高年齢者の多様なニーズを踏まえた就業機会の提供が求められます。
厚生労働省の「高齢者雇用対策ラボ」や独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「高年齢者活躍企業事例サイト」などの
情報サイトでは、高年齢者が働き続けるための取り組みや支援制度を紹介しています。
