コラム


光熱費・燃料費の削減や企業評価の向上が主な理由

政府は2030年度の温室効果ガス46%削減 (2013年度比)、
2050年のカーボンニュートラル実現という国際公約を掲げ、企業においても脱炭素経営を推進しています。
ここでは、中小企業の脱炭素への取り組み状況を日本商工会議所と東京商工会議所の調査から確認します。

約7割が取り組みを実施

日本商工会議所と東京商工会議所が共同で行った「中小企業の省エネ・脱炭素に関する実態調査」(6月公表)によると、
71.4%の中小企業が脱炭素に関する何らかの取り組みを実施していることがわかりました。

その具体的な取り組み内容は図表の通りで、「省エネ型設備への 更新・新規導入」、
「運用改善による省エネの推進」、「エネルギー使用量・温室効果ガス排出量の把握・測定」の上位3項目においては、
従業員規模が大きい企業ほど取り組んでいると回答しています。

とりわけ、「温室効果ガス排出量等の把握・測定」は従業員規模による差が大きく、20人以下の企業は1割を切るのが現状です。
それでは、企業が脱炭素に取り組む理由・目的は何でしょうか。

同調査で尋ねたところ(複数回答)、最多は「光熱費・燃料費の削減」で、75.2%に上ります。
次いで「企業としての評価や知名度の「維持・向上」(30.5%)、「ビジネス環境の変化や技術革新への対応」(25.6%)と続いており、
企業ブランディングや経営革新につなげようという狙いもあるようです。

また、脱炭素に関する取引先等からの要請については、74.3%の企業が「要請はない」と回答。
裏を返せば約4分の1(25.7%)の企業が取引先から何らかの要請を受けていることになります。

資金の不足が課題

一方で、28.6%の企業が「取り組みは行っていない」こともわかっています(図表参照)。
同調査で「取り組むハードルとなった・なっている、なり得るもの」を尋ねたところ (複数回答)、
最も多かったのが「取り組むためのマンパワー・ノウハウが不足している」(56.5%) でした。
次いで「排出量の具体的な算定方法が分からない」(33.1%)、「排出削減に取り組むための資金が不足している」(26.2%)と続いており、
具体的な 算定方法や資金面をハードルと感じている企業も多いようです。

資金面においては、政府や自治体に期待する支援の設問(複数回答)で、
71.3%の企業が「省エネ設備、再エネ導入等に対する資金面での支援」と答えたことからも課題であることがうかがえます。
環境省の運営サイト「脱炭素ポータル」では企業の脱炭素経営への取り組み方や補助・委託事業の情報を紹介しています。
取り組む際には参考にするとよいでしょう。



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