アサーティブ・コミュニケーションを学ぶ
相手の気持ちを尊重しながら自分の意見を率直に伝える
職場で起こる問題の原因の一つに、職場内のコミュニケーション不足が挙げられます。
そこで近年、コミュニケーションを改善する方法として注目されているのが「アサーティブコミュニケーショ ン」です。
アサーティブコミュニケーションとは何か。その概要を見ていきます。

半数の人が「本音で話せない」
人と組織に関する調査・研究を行うパーソル総合研究所が実施した「職場での対話に関する定量調査」によると、
職場での会話機会において「全く本音で話していない」という従業員は、
「上司との面談」で41.6%、「チーム内の会議」で43.0%でした。
本音で話せる割合 が「2割未満」と答えた従業員を合わせると、双方ともに過半数を超えています。
また、「職場で本音を話せる相手」について尋ねたところ、「1人もいない」が50.8%で最も多い結果となっています。
多くの従業員が職場で本音、本心を話せていないのが現状のようです。
同調査では、本音でのコミュニケーションがもたらす、働く個人への影響についても調査しています。
それによると、本音でコミュニケーションが取れない人は、 ジョブ・クラフティングやワーク・エンゲイジメント、
個人パフォーマンスなどが低い傾向にあります (図表参照)。

アサーティブの重要性
こうした背景のもとで注目されているのが「アサーティブ・コミュニケーション」です。
「アサーティブ(assertive)」とは「自己主張する」という意味であり、アサーティブ・コミュニケーションは
「相手の気持ちを尊重しながら、自分の気持ちや意見を伝える手法」のことをいいます。
特定非営利活動法人アサーティブジャパン (AJ) は、コミュニケーションの良し悪しは個人の性格で決まるものではなく、
伝え方の問題であるとし、アサーティブコミュニケーションを行うためには以下の4つの柱が大切だと述べています。
1 誠実/自分自身に正直になることで、相手にも誠実になれる。
2 率直/遠回しではなくストレートに、相手に“伝わる”言葉にする。
3 対等/上から目線でも卑屈でもなく、態度も心の中も対等に向き合う。
4 自己責任/言った責任、言わなかった責任は、自分が引き受ける。
AJではホームページ上の「伝え方のヒントブック」でアサーティブな伝え方についての考え方やコツを紹介するほか、
アサーティブを学ぶための講座も実施しています。
また、厚生労働省でもハラスメントを回避する手法の一つとして、
特設サイト「明るい職場応援団」内の「言い方ひとつで変わる会話術」でアサーティブ・コミュニケーションに言及。
多様性が重視され、さまざまな立場や価値観の人と仕事をする機会が増えている今、
アサーティブ・コミュニケーションを学んでみるのもよいでしょう。