企業の設備投資の現状を見る
円安や物価上昇が設備投資の妨げに
企業の設備投資は生産性を向上し、経済を成長へと導く重要な要素の一つです。
深刻化する人手不足に対応していくためにも省力化に向けた投資が必要とされていますが、企業の取り組みはどのような状況なのでしょうか。
帝国データバンクの調査から確認します。
約6割が設備投資を予定
帝国データバンクが4月に実施した「2024年度の設備投資に関する企業の意識調査」によると、
2024年度に設備投資を実施する「予定(計画)がある」(「すでに実施した」「予定している」「実施を検討中」の合計)企業の割合は58.7%でした。
前年の同調査より1.8ポイント低下しており、前年を下回ったのは4年ぶりです。
一方、設備投資を「予定していない」企業は33.1%で、前回調査から2.0ポイント上昇しています。
デジタル投資は約4割
次に設備投資の「予定 (計画) がある」と答えた企業に、設備投資の内容について尋ねたところ (複数回答)、
「設備の代替(入れ替えや交換、更新など)」(58.9%)が最も多く、
次いで「既存設備の維持・補修」 (29.8%)、「省力化・合理化」(25.7%)、
「DX」(24.8%)、「情報化 (IT化) 関連」(22.2%)の順となっています。
このうち、「DX」「情報化(IT化) 関連」のいずれかを選択した企業は全体の37.4%。
前回調査からやや低下したものの、4割近くの企業が業務の効率化に向けたシステム導入などのデジタル投資を進めていることが見て取れます。
また、設備投資をする際の主な資金調達方法については、57.1%の企業が回答した「自己資金」が最多。
次いで金融機関からの借り入れが28.7%(「長期の借り入れ」の22.0%と「短期の借り入れ」の 6.7%の合計)、
「補助金・助成金」が5.3%と続いています。
資金面の負担が増加
一方、設備投資を「予定していない」企業に対してその理由を尋ねた結果は図表の通りで、「先行きが見通せない」 が最多。
企業の規模別に見ると、中小企業は「先行きが見通せない」「借り入れ負担が大きい」「手持ち現金が少ない」において大企業よりも5ポイント以上高く、
中小企業の資金面に対する不安がうかがえます。
調査には「物価上昇にともない機械関係が高騰、支払いのめどが立たない」(各種商品小売) や
「最近、特に設備代金が高くなっており、以前の見積りの1.5倍程度の負担になるため、設備購入・更新が出来ない」
(機械製造)といった声が寄せられており、円安や物価上昇が妨げになっていると考えられます。