お役立ち情報

毎年、梅雨明けの時期になると日差しが急に強くなり、急激な環境温度の変化に身体が対応しきれずに、全国的に熱中症が発生しています。
令和5年、愛知県内で発生した就業中の熱中症は、59 人 (休業4日以上・12月末時点での速報値)となりました。

熱中症の発生はWBGT (暑さ指数) と明確に関連しており、予防についても作業者の暑熱環境ばく露管理を行うことで一定の科学的アプローチが可能です。
このパンフレットを参考に、関係者が熱中症に対する十分な認識を持ち、熱中症の根絶を目指しましょう。



愛知県内における熱中症発生状況 【休業4日以上の死傷災害】



愛知では毎年、数十名の方が休業4日以上となる熱中症を発症しています。
近年死亡例が発生していないのは、「早期の医療機関受診」が浸透し、軽症のうちに治療できるケースが増加したなどが考えられます。
熱中症の発生は毎年5月頃、かなり早い時期から始まります。
最多となる7月~8月を迎える前に、早期に予防対策に取り組むことが重要です。

熱中症は、午後3時から4時台をピークに、全ての時間帯で発生しています。
発生場所も屋外に限らず、屋内の割合もかなり高くなっています。

1 熱中症とは

「熱中症」とは、高温多湿な環境下で、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温調整機能がうまく働かないことにより、
体内に熱がたまり、筋肉痛や大量の発汗、さらには吐き気や倦怠感などの症状が現れ、重症になると意識障害などが起こります。

従来、症状によって、熱失神、熱けいれん、熱疲労、熱射病などに分類してきましたが、
現在では、一連の症状を総称して「熱中症」と呼ぶようになりました。

これらの症状は、対応の仕方や被災者側の体調によって刻々と変化しますので、症状分類にとらわれずに「熱中症」ととらえることが大切です。

熱中症の症状と重症度分類



2 熱中症の見分け方



熱中症が疑われる症状が見られたら、すぐに作業を中止して、119番してください。
専門知識がないと熱中症が判断できないからです。

救急隊員なら応急措置ができます。
病院に行けば、救急医が診察してくれるので安心です。

脱水症状をみつけるポイント

熱中症の裏には脱水症状 (水分・塩分などの電解質の不足)が隠れています。
大量の発汗、目がしみるような塩分の濃い汗が出始めたら要注意!!

1 原因不明の発熱
2 急激な体重減少 ( 7日以内に4%を超える体重減少)
3 尿が濃くなる
4 わきの下が乾燥する
5 舌が乾燥する
6 手の甲の皮膚をつまみ上げると直ぐに戻らない (3秒以上戻らない)
7 親指の爪を押さえて離すと、赤みが直ぐに戻らない (3秒以上戻らない)
8 末端の血行が悪くなり、手足が冷たくなる (血液が重要な臓器に集まるため)

3 熱中症の応急手当



救急車が到着するまでの応急手当が運命を左右します。
熱中症になると、迅速かつ適切な救急救命措置を行っても命を救えないことがあります。
着衣を脱がせ、水をかけ、全身を急速冷却してください。

4 WBGT値(暑さ指数)に基づく対策

WBGT値(湿球黒球温度: Wet BulbGlobeTemperature) は、
熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標で、「暑さ指数」とも呼ばれます。
単位は気温と同じ摂氏度 (°C) ですが、その値は気温とは異なります。

WBGT 値(暑さ指数)は、1 湿度、2日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の暑熱環境、3気温の3つを取り入れており、次の式で算出されます。
[1] 屋内及び屋外で太陽照射のない場合 WBGT値=0.7×自然湿球温度+0.3×黒球温度
[2] 屋外で太陽照射のある場合 WBGT値=0.7x自然湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度

WBGT値(暑さ指数)が下表の基準値を超え、又は超える恐れのある場合には、次ページ以降の対策を徹底しましょう。



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